【入門編】初心者の方にも分かりやすい 写真で解説レザークラフト前編(革の準備~縫い穴を空ける)

レザークラフト

ここ数年レザークラフトがひそかなブームとなり、インスタやTik Tokでハンドメイドの革製品を紹介している方をよく目にします。

私もレザークラフトを初めて約5年がたち、小銭入れやキーケースなどの小物から、長財布やカバンなど様々な革製品を作ってきました。


元々革製品が好きでよく買っていたのですが、市販のものはどこかに自分の好みとは違った部分があり100%の満足を得ることが出来ませんでした。

それなら自分の好みの色やサイズ感、機能性に合った革製品を作ってみようと思ったのがレザークラフトを始めたきっかけでした。

今回は《レザークラフトを始めたいけど、どんな道具を揃えていいか分からない方》《レザークラフトってどんなことをするの?》と思ってる方への入門編です。

みなさんのレザークラフトを始めるきっかけになれば嬉しいです。

レザークラフトを始めるために必要な道具

レザークラフトで使う道具は様々なものがあります。

一つ一つ買い揃えると結構な金額になりますし、まず何がいるのか分からないと思ってる方も多いと思います。

初心者の方向けに入門セットも3,000円くらいから販売されているので、とりあえず体験してみたい方にはおすすめです。

ただし、あまり使わないものが含まれている入門セットもあるので、中身をチェックして買いましょう。





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最低限必要な道具

縫い針
縫うためには最低2本の針が必要です。予備も含めて4~5本準備しましょう

出典先:amazon



革用スムース糸
ポリエステル製のロウ引きされた糸



ビニール板
革を裁断する際に下敷きとして利用します。B5~A4サイズが使いやすい



ゴム板
菱目打ちで革に穴あけする際に下敷きとして利用します。B5サイズくらいが使いやすい

年季が入っててすいません



木槌
菱目打ちで穴あけする際に利用します。



マルチステッチンググルーパー
縫い穴を空ける場所のガイドラインを引く道具。線を引くモデラと、溝を掘るグルーパー刃の2種類あります。

付属のレンチで刃の取り換えが可能



菱目打ち
革に糸を通す穴を空ける際に利用します。刃の本数や間隔の大きさなど様々タイプがあります。まずは1~2本刃と4本刃のタイプを揃えるといいでしょう



トコノール
革の床面コバを磨く際に利用します。

出典先:amazon



プレススリッカー
トコノールで革を磨く際や接着剤の圧着に利用します。



★カッター
革を裁断する際に利用します。市販されている一般的なカッターで十分です。



ボンド又は両面テープ
革を接着する際に利用します。両面テープは2㎜幅くらいの細いものを使いましょう



へり落とし
革の裁断部分の角を落とす際に利用します。



目打ちや銀ペン
型紙の形を革に写す際に利用します。




今回の記事ではレザークラフトを始めるのに最低限必要な道具を使い方と合わせて紹介しています。

自分が作りたい革製品に必要な道具を確認してレザークラフトを始めてみましょう。

革の基礎知識 ~皮から革に変わる工程~

まずは『』と『』の違いは何でしょうか。

動物の『皮』は様々な工程を経てレザークラフトで使う『革』になります。

動物から剝いだままの皮では腐敗したり乾燥するため①水洗い②毛を抜く③余分な脂を抜く④なめす等の工程が必要となります。

特に『なめし』は革の品質を左右する重要な工程となります。

なめすことで革が扱いやすい柔らかさになり、耐久性が出てきます。

このなめしの工程に入る前は『皮』で、なめした後のものを『革』と使い分けされています。

なめし方法は時間をかけて植物タンニン剤を浸透させるタンニンなめしと、クロム化合物を使って短時間でなめすクロムなめしの2種類があります。

タンニンなめしの特徴

タンニンとは植物の葉や実などに含まれるポリフェノール化合物の一種です。

タンニンなめしは昔から皮をなめす為に使われていた製法で、植物の樹皮から抽出したタンニンを含む溶液に何十日もかけて漬け込みます。

時間をかけてなめすので革への負担が少なく、革の芯までタンニンが浸透するので、なめし後は革の収縮が少なく堅牢で、長く使うほどに馴染んで深い色合いに変化していきます。


クロムなめしの特徴

クロームなめしはタンニンなめしに比べて歴史が浅く新しい加工技術です。

クロム化合物に1日程度漬けてなめすので、タンニンに比べ早く大量の革を作る事が出来ます。

クロムなめしされた革は柔らかく伸縮性に優れていて、着色や加工しやすい事が特徴です。

革の種類

革といっても牛革、豚革、馬革など様々な種類があります。

今回は種類も多く初心者の方でも使いやすく、準備しやすい牛革で説明します。

また牛革の中でも様々な種類があります。

成牛タンロー

出典先:amazon

タンニンでなめされた牛革でレザークラフトに最も幅広く用いられる革です。

カービングや染色からモデリングまであらゆる技法に適していて、コシの強さと風合いが特長です。

オイルレザー

出典先:amazon

多脂を多量に含ませたタンニンなめしの革です。

バックやベルトなど手縫いに適した素材です。

サドルレザー

出典先:amazon

タンニンなめし後に銀面を磨いてツヤを出した革です。

厚みがあり堅牢で、元々は馬の鞍に使われていたのでこの名がつきました。

クロムなめし革

出典先:amazon

クロム化合物を使ってなめされた革です。

様々な色に着色することができて幅広い革製品に使われています。

有名なブランドのバックなどでもよく使われています。

ヌメ革

出典先:amazon

タンニンなめしが施され表面加工をほとんど施されていない革です。

他の革に比べて最も革らしい雰囲気があり、使い込むにつれてアメ色に変化していく様子を楽しめます。





完成までの流れ 前編 (革の準備~縫い穴を空ける)

財布やキーケース、カバンなどレザークラフトでは様々なものを作る事が出来ます。

最初のうちは何を作っていいか迷うと思います。

比較的簡単に作れるものはカードケースやキーホルダー、ブックカバー、ティッシュケース等のパーツ数が少なく立体的でない平面的な革製品になります。

出典先:amazon



作りたいものによって完成までの工程は少しづつ違いますが、大まかな流れは同じです。

基本作業のコツさえつかんでしまえば色々な革製品を作ることができます。


《完成までの流れ》

①革を準備し必要に応じて床面を磨く
 ↓
②型紙の形を革に写す
 ↓
③下書きに沿って革を裁断
 ↓
④手縫いで縫う穴を空けるためにガイドラインを引く
 ↓
⑤ガイドラインに沿って菱目打ちなどで穴を空ける
 ↓
⑥糸で縫う
 ↓
⑦コバを磨いて完成

次に各作業を詳しく解説し、必要な道具も合わせて紹介していきます。

作業① 革を準備し必要に応じて床面を磨く

まずは革を準備しましょう。

初心者の方は成牛タンローやクロムなめし革などが使いやすいと思います。


まずは革の裏面を見てください。(裏面はレザークラフト用語で床面と言います)

革の床面を見ると毛羽立っていると思います。



その毛羽立ちを抑えて扱いやすくするために床面を磨く作業が必要となります。

※毛羽立ちが気にならない人は省略して構いません。

◆使用する道具

トコノール床面コバに塗ることで毛羽立ちを抑えてツヤを出す薬剤

プレススリッカー:トコノールを床面に塗る際や、接着剤の圧着、コバを磨く際に使う棒

◆床面の磨き方

①トコノールを指にとり床面に塗る
 POINT:最初から大量に塗らず少しづつ足して塗っていきましょう



②プレススリッカーを横に持ち、トコノールを床面全体に広げるように軽く伸ばす



③全体に広がったら少し力を加えながら床面を磨いていく
 POINT:はみ出たトコノールが銀面に付着しないように注意しましょう。



④全体に塗り終わったら乾かす


作業② 型紙の形を写す

作りたい革製品が決まれば革パーツを作ります。

革を無駄なく効率的に使用するためには、型紙を作り革のどの部分からパーツを切り抜くか決めましょう。

中級者レベルになると作りたいもののパーツを想像し、型紙を自分で書いて作れるようになりますが、初心者のうちは型紙付の本を買ったり、インターネットから型紙をダウンロードする方法もあります。

型紙付の本などは作り方の手順も紹介されているので、手順に沿って作業すれば簡単に革製品を作る事が出来ます。

型紙を手に入れたら型紙の形を革に写しましょう。

出典先:amazon
◆使用する道具

目打ちや銀ペン:型紙の形を革に写す際に使います

ビニール板:革を裁断する際の下敷き。様々な大きさがありますがB5~A4サイズくらいが使いやすいです

型紙の写し方

①ビニール板の上に銀面を上にした革をセットする

②革の上に型紙をセットし型紙がずれないようにしっかり押さえる
POINT: 型紙は厚紙で作った方が革に写しやすくなります

③型紙の周りを目打ちや銀ペンでなぞり銀面に薄く跡をつける



作業③ 革を裁断する

型紙を革に写し終えたら革を裁断します。

革には様々な種類や厚さがありますが通常の牛革であればカッターで裁断する事が出来ます。

カッター刃の切れ味が悪いと感じたらすぐに替える事がきれいに裁断する重要なポイントです。

◆使用する道具

・カッター:市販されている一般的なもので大丈夫です。中級クラスになると革包丁にもチャレンジしてみましょう。

・定規や曲尺:真っ直ぐな裁断の時使います。レザークラフト用の定規も市販されています。

ビニール板

◆革の裁断方法

①目打ちや銀ペンで付けた跡にカッターの刃を合わせてゆっくり裁断しましょう。
POINT:角を切る際は刃を途中で止めずに一辺を切り落として次の辺を切りましょう



※曲線を切る際はカッターを動かすのではなく、革をゆっくり動かして切りましょう

作業④ ガイドラインを引く

手縫いで作る場合は、糸を通す穴をあらかじめ空けてから縫い始めます。

等間隔で真っ直ぐなきれいな縫い目にするために、縫い線にガイドラインを引いてその線に沿って縫い穴を空けていきます。

ガイドラインの線も①モデラで跡をつけて目印だけで利用する線と、②グルーパー(溝切り用)で溝を掘る線の2種類に分けられます。
土台は同じで先だけ変える商品が便利です。

モデラタイプ
グルーパータイプ



後者の溝を掘る線は革の銀面の高さと縫った後の糸の高さを揃えることで糸の摩擦を防ぎ、摩擦による糸の切断を防ぐ事が出来ます。

◆使用する道具

目打ちマルチステッチング(モデラ):跡をつける線を引く場合に使用します



マルチステッチング(グルーパー):溝を掘った線を引き場合に使用します



◆ガイドラインの引き方

①制作物の革の厚さに応じてコバからガイドラインの間隔を決める
POINT:マルチステッチンググルーパーはコバからガイドラインの間隔を自由に固定することができるので便利です



②革の角の部分にガイドラインを引き始める位置の印をつける



③引き始めの位置に目打ちやマルチステッチンググルーパーを当て、ゆっくり線を引く
POINT:曲線にガイドラインを引く場合もマルチステッチンググルーパーが便利です




作業⑤ 縫い穴をあける

ガイドライン引いた線に糸を通す穴を空けていきます。

縫い穴を空ける時は菱目打ちを使います。

菱目打ちで空けた縫い穴を縫うと、縫い目の糸が斜めになり手縫い独自の風合いを出す事が出来ます

菱目打ちには刃の本数や間隔が異なる種類のものがあります。

刃の本数が多いものは一度に空けれる穴の数が多くなるので作業の効率化になります。

刃の本数が少ないものは曲線に穴を空ける際に使います。

菱目打ちの種類もいくつか準備して作る革製品によって使い分けると良いと思います。



また2枚以上の革を同時に空ける時は両面テープや革用のボンドを使ってあらかじめ固定しておきましょう。

菱目を打つ際に垂直に打たなかったり、2枚目の革が固定されずズレてしまうときれいな縫い目を作る事が出来ません。

糸を真っ直ぐきれいに縫えるかどうかは、菱目打ちをきれいにできるかで決まってしまいます。

◆使用する道具

菱目打ち:縫い穴を空ける際に使います

木槌:菱目打ちをたたく際に使います

ゴム板:穴を空ける際に下敷きとして使います

両面テープや革用ボンド:2枚以上の革を同時に空ける際、固定するために使います

◆ボンドで革を貼り合わせる方法

①ボンドをつける部分をヤスリやカッターの刃で毛羽立たせる
POINT毛羽立たせる事で接着面積が大きくなり接着の力が強くなります。カッターの刃を使う際は革が切れないように注意しましょう



②接着面にボンドを塗る
POINT:縫い代よりも内側にボンドを付けて、はみ出さないように注意しましょう



③ヘラを使って余分なボンドを取り、薄くまんべんなく塗る
POINT:ボンドは貼り合わせる両面に付けると強固に圧着できますまた薄くつけることで貼り合わせた跡がほとんど分からなくなりきれいに仕上げる事が出来ます。

④プレススリッカーやローラーでこすり合わせ圧着する


【ボンドの注意点】
一般的なボンドやノリ等は塗って乾く前に貼り合わせますが、ゴムのり等の革用ボンドは乾燥させてから貼り合わせます。

パッケージの使用方法を見て、ご利用のボンドタイプを確認しましょう。

使用するボンドの使用方法を確認して正しく貼り合わせましょう。


◆縫い穴のあけ方

①ゴム板の上に革をセットする



②ガイドラインの上に菱目打ちを軽く当てて印をつけ、穴の位置を確認する



③菱目打ちを垂直に立て、木槌で2~3回叩いて革を貫通させる
POINT:床面を見て貫通しているか、穴が真っ直ぐ空いているかを確認しましょう。裏の穴が小さいと縫う際に針が通りづらくなります。



④次の穴を空ける際は、先に空けた穴に菱目打ちを1~2か所かぶせて穴を空ける
POINT:穴をかぶせることで真っ直ぐで等間隔に空ける事が出来ます



~レザークラフト入門 後編に続く~

【入門編】初心者の方にも分かりやすい 写真で解説レザークラフト後編(針と糸の準備~コバ磨き)
自分の好みの色やサイズ感、機能性に合った革製品を作れるのがレザークラフト醍醐味です。 今回は《レザークラフトを始めたいけど、どんな道具を揃えていいか分からない方》や《レザークラフトってどんなことをするの?》と思ってる方への入門編です。


どの様な革製品を作ったらいいか迷っている方へ

革製品も様々なタイプのものがあります。

どんな革製品を作ったらいいか分からない方に、おしゃれな革製品サイトをいくつかご紹介します。

形や色、機能性を皆さんが制作する革製品の参考にしてみて下さい。

革財布のお店mic(ミック)

1961年創業の老舗財布専門メーカー、「株式会社ラモーダヨシダ」のプライベートブランドです。

ヒップポケットにも入る小さい財布や、本格的な長財布、名刺入れ、携帯ケース、おしゃれなポーチポシェットなど小物革製品を数多く取り扱っています。

特にヒップポケット革財布は過去に『グッドデザイン賞』を受賞しています。


サイト内では商品寸法や商品の使用イメージ写真などもあり、かなり参考になるサイトだと思います。

革財布のお店mic(ミック)オンラインストア


最高級レザーで作るオーダーメイド専門店【Livelty TOKYO】

オーダーメイド専門店なので定番アイテムではない変わった革製品を数多く取り扱っています。

商品ページでは細かいサイズ表記や、実際に身に着けているイメージ写真も紹介されています。

色使いやサイズ感、機能性もかなりこだわっているので参考になると思います。


最高級レザーオーダーメイド専門店【Livelty TOKYO】

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